特別講演 「製造工程とその工程で用いる装置/ツールの知的財産に関する諸問題: リサーチ・ツール」

一般社団法人製剤機会技術学会 第22回大会
『ボーダレス時代を勝ち抜く「ものづくり」』 - テクノロジー・イノベーションでフロンティアに立て!

日時: 2012年10月10日(水)
場所:大阪、千里ライフサイエンスセンター ライフホール

特別講師
Philippe F. Riesen フィリップ・F.・リーゼン

ホーガン・ロヴェルズ法律事務所 製薬産業における「リサーチ・ツール」は、製造プロセスや装置といった技術を含み、それは、特許により権利化されてしまうと、これを活用して実施される有効成分の研究開発の行方を左右してしまうほどの影響力がある。たとえば、ヌクレオチド配列決定、スクリーニング検定、各種パラメータの測定装置、コンビナトリアル・ケミストリー・システム、などがその例として挙げられる。あるいは、製品の品質保証のためのプロセス解析などの目的で用いられる手法や装置に関しても同様のことが言えるだろう。さらには、このプロセス解析を活用するための装置や道具そしてその使用法までも含まれるかも知れない。

こういった技術の多くは製品そのものを直接「生産」するわけではないが、製品開発の過程で活用され、後になって特許上、特有の問題を引き起こす。我々は、このような領域の問題について最近の状況につて調査を実施しようとしている。たとえば、規制当局側は、35 U.S.C. 271(g) (Process Patent Act)に基づいて、米国内で特許取得されたプロセスを活用して作られた製品を米国へ輸入することに対しては、特許侵害行為とみなすとしており、このことは日本で製造され米国に輸出される製品に関しても適用される可能性がある。

しかしながら、リサーチ・ツールのもつ性質上、製品の生産に使用されたかどうかに関しては、しばしば問題となるところである。防御側は、35 U.S.C. 271(g)と間接的特許侵害に関する米国特許法との相互関係から、これに対して問題を提起している。この間接的特許侵害は、対象となる装置や手法が、たとえ日本国内のみで製造、販売されていたとしても、米国法下では企業の潜在責任を問われるような問題をひきおこす。35 U.S.C. 271(e)(1)に記載された「セーフ・ハーバー」の試験的な申請が、リサーチ・ツールに適用された場合は、このことに固有の問題が発生する。また、権利供与の際にもこのような独特の問題が生じる。たとえば、リサーチ・ツールの特許権保持者が、そのツールを活用した製品の販売に対してロイヤリティーを請求(リーチ・スルー)する場合など、がこれにあたり、非実施事業体「特許荒らし」と断定されることもある。ここで言うリーチスルーとは、販売されるツールや装置のコストに対してではなく、リサーチ・ツール特許に対してライセンスを結ぶことであり、リサーチ・ツールを使用して開発され、市場に投入された製品の売上に対しても実施料を課すこということである。したがって、実施料の支払いは、過去における装置の販売から、これをリサーチ・ツールに使用して開発された下流の製品の売上に至るまでの一切が対象(リーチ・スルー)となる。


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